メカ沢くん
28歳の時に人生観が大きく変わる前、私は本当に我がなら嫌なやつだった。
人を「上か、下か」でランク付けするような人だった。
尊敬すべき人と、つきあうべきでない人・・・・。
恥ずかしながら本当にそんな視点を持った人間だった。(ひいた?ひいた?今は違うから!)
特に自営業で人を信じられなくなってからは益々拍車がかかっていってどんどん孤独になっていった。
「本当に心を開ける人が一人いればいい。後はいらない」
そう思ってどんどん孤独になっていっていた。
そんな私の昔からの友人というと、当然、とても数少ない。
今でも機会があれば会いたいと思う人は沢山いるけれど、実際に連絡をとりあうとなると極端に少ない。
そんな私だったから当然なんだけど、そんな私の長年の友人であってくれた人には本当に驚異の念と、感謝の気持ちで一杯。
私のダークな部分も知っていて、過去の私の耐えがたい無礼にも耐え・・・・
忍びがたきを忍び・・・
その中の高校時代からの友人で神戸から東京にいる友人の話。
私に「夢を持っているやつはすごい」と思わせた人たちだ。
一人は漫画家に。
他の同級生達が、次々とサラリーマンになっていく中、学生時代からの漫画家になるという夢を、ただ真っ直ぐに、突き進んでいる。
彼は高校生の時からそうだった。いつも真っ直ぐで純粋で。
今会っても全く変わらない。
彼はいつまでも高校生のようなきらきらした瞳で夢に向かっているのだ。
私は漫画を読まないので全く気が付かなかったのだけど、ある日友人に教えてもらった。
「クロマティ高校のメカ沢くん、太郎が書いてるよ!」
「クロマティ高校??」「メカ沢?」
どちらもさっぱりわからなかった私だけど、ツタヤに行って「コミックボンボン」という雑誌を買いに行った。
・・・・・なんと、表紙を飾っているではないか!!
しかも、特別豪華付録は、「メカ沢くんストラップ」!!!
即効で買いましたよ!
そして今でも私の携帯電話にぶら下がっている。
人に「何それ!?」といわれる度に誇らしげに自慢する。「友達が画いているんです!」って。(←あんたが自慢するな!)
あ、彼は ダイナミック太郎 といいます。
コミックボンボンというのはたぶん小学生の男の子対象っぽい漫画雑誌なのですが、前の会社で、仕事しかしていないようなエリートの人がエレベーターで私の携帯のストラップ見て「あ、それメカ沢・・・」って言った時はびっくりしたけど。(当然また自慢しまくり←あんたじゃない!)
そんな彼ともう一人、私が東京に来るきっかけになった友人が一人。
彼女は私よりずっと前から東京に住んでいて、私が東京に来た時もいつも気にかけてくれていた。
元夫と自営業をはじめた時も彼女は他に仕事を持っていたにも限らず、それ以外の時間を遠くまで手伝いにきてくれていた。睡眠時間を削って。
色々あって3年間も絶縁状態になってしまったことがあった。
もう怒って連絡はくれないと思っていたのに、彼女から連絡をくれた。
嬉しかった。でもそれでも昔の様に会えないんじゃないかと漠然と思っていた。
そもそものきっかけは私が自分の事で頭の中が一杯になっていたこと。
彼女の話を全く聞かず、自分の思いだけをぶつけた。
3年も経ち、私も何から話そうか・・・と思い巡らせてたのに、会ったら別に何も話す必要が無くなっていた。
もう元に戻っていたから。
彼女はその小さい体のどこにそんなパワーがあるのか!?と思わせる人だ。
高校生の時に、音楽大学への道を決めた彼女は、色々な教室(ピアノや声楽や)に通う事で生じる両親への負担を考え、はるか彼方から自転車通学する事になった。
・・・・・東京と違って神戸はものすごく山と谷の起伏が激しいのに。
彼女は遠路を自転車で通いつづけた。
時々私を後ろに乗っけて!(←おい!乗るな!)
時々おまわりさんに「そこの二人、降りなさい!」って怒られながら!!
(良い子はマネしないでね!)
彼女は走っていた。ちっこい身体で。
そして見事音大に合格した。
彼女はいつでも精一杯生きている。
今でもまた挑戦しつづけている。そして・・・結果を出す!(←これ重要。私と違う所)
そして、時々私を心配している。自分が
彼女は私を「頑張りや」だと言ってくれる。実際は私じゃなくて彼女が頑張りやなのに。
どうして彼女がそう言うのか、私には本当に不思議。
私を炊きつける方法を知っているのか!?(笑)実際彼女にそう言われると、「そうやったかなぁ・・・?じゃあ頑張らなあかんかなぁ・・・?」と、見事暗示にかかっている・・??
そんな太郎と彼女と私と3人は同じ高校のブラスバンド部でよく恋愛について語り合った仲だった。
彼女とは毎日手紙(メールとか無い時代だったんで!)をやり取りしていたし、3人が同時期に失恋したときには神戸の舞子駅の近くのマック(関西ではマクドと言う)・・ここはたぶん世界で一番眺めのいいマック?そこで延々と失恋を慰め合った。
そうして10数年後・・・・・
二人は道に向かってまっすぐに。私は道に迷ってふらふらしながら(笑)